2015年02月18日

10 「深夜食堂」(空腹のセレナーデ) 安倍夜郎 (小学館)286円

卵焼きは甘いのが好きだ。


卵焼きは砂糖をいれた甘いものだと思っていたが、福井出身の知人に出したところ、「卵焼きはしょっぱいのが普通。」と言われてしまった。卵焼きが甘いか、しょっぱいかで地域的にアンケートを取ってみれば、甘い卵焼き分布図ができあがって、面白いかもしれない。


味は人生の懐かしい思い出一緒になったものかもしれない。


子供のころの誕生会で、母に作ってもらったチラシずしや苺のショートケーキとれたてのサバを寿司にして笹の葉でくるんだ笹寿司


子供のころ、サウンド・オブ・ミュージックなどのミュージカル映画を家族で見た後食べたヒレカツ定食、このヒレカツ定食を食べた店は油が壁やテーブルにしみ込んでいた汚い店だったが、抜群にヒレカツが美味しく、今もあれを超えるヒレカツを味わったことがない。


もう、なくなってしまったが、神戸・元町にあった「青辰」の穴子寿司も懐かしい。パリパリののりの香りに、よく煮含めたシイタケの香りがマッチして、至福の味だった。


あなたの思い出の味はなんですか?


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10 「深夜食堂(空腹のセレナーデ)安倍夜郎 (小学館286


深夜食堂」というコミックを手に取ったのはコンビニだった。



前からこの題名が気になっていて、偶然手にしたのはダイジェスト版の深夜食堂だった。パラパラと読んですっかり気に入ってしまった。


東京の路地裏にあるマスター一人で、深夜0時から朝の7時まで営業する「めしや」の物語で、メニューは豚汁定食、ビール、酒、焼酎しかないが、マスターが作れるものなら何でも作ってくれる。


マスターも常連客も訳ありみたいだが、つかず離れずの、人と人との距離感が心地よく、あたたかい。


難破船が灯台の灯りを頼りにやってくるように、お客たちは、この深夜食堂に吸い寄せられるようにやってくる。いい人も、悪い人も。そんないろいろなお客に対して、マスターの出す料理は簡単だが、堪らなく懐かしくて、「そうそう、こういうものが食べたかったンだよねぇ」と頷いてしまうのである。


個人的に、春キャベツの千切りに中濃ソースをかけたものにはまっていて、キャベツ好きの人にはおすすめの一品である。

こんな店があれば、通ってしまいそうだが、朝方人間の私には、深夜はきつく、コミックの世界を楽しむほうがよさそうだ


食べ物の題名のエピソードのどれもが、しっとりと優しく、人に対する愛しさに満ちている。読んでいると作品にでてくる料理を再現したくなって、「深夜食堂の料理帖」(飯島奈美 小学館 907円)も買い込んで、研究しているところだ。

うまく再現できたら、「深夜食堂」パーティをして友だちや家族を喜ばせよう、と計画している。


映画「深夜食堂」(監督 松岡錠司 主演 小林薫 現在2月14日ブルク7で上映中)も素晴らしく、寒い夜には人肌に温まる作品になっている。



主演の小林薫の飄々とした魅力に加え、高岡早紀の色っぽさ、田中裕子の他を圧倒するおとぼけ怪演ぶりも笑わせてくれる。


 深夜食堂 空腹のセレナーデ (My First Big) -
深夜食堂 空腹のセレナーデ (My First Big) -


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2015年02月07日

「Slumdog Millionaire」 VIKAS SWARUP (SCRIBNER INTERNATIONAL)846円

「芸は身を助ける」という言葉があるが、私は、この言葉を「経験は身を助ける」と解釈している。


なぜかというと、私はながく様々な会社、職種で働いてきたが、その職場、職場で、貴重な経験を積むことができたからである。


安定した一つの職場で、ながく働きスキルを磨きあげていくのが理想であったが、契約の終了や諸事情があり、いろんな会社で働くようになった。


私は、いろんな会社で、あるところでは、ワードやエクセルの便利な使い方を、あるところでは、お茶の美味しい入れ方やお客様への出し方、掃除の仕方、会議室での着席の仕方、プレゼンテーションなど、仕事の基本と応用を、お金をいただきながら学んでいたのである。


仕事をしていくなかで、無駄な経験はな。どんな小さな経験も、次の仕事に活かすことができ。なかでも大切だったのは、人との関係だ。


どの会社でも、人間関係は難しかったが、思い出すのは、パソコンを分かりやすく教えてくれた若い同僚、社内の人間関係のしがらみを教えてくれてメンターのような上司など、いたらなかった私に親切にしてくれた人たちである。


Slumdog Millionaire -
Slumdog Millionaire -


今、私は、この親切のバトンを誰かに渡す時期にきていると感じている。



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9 「Slumdog Millionaire」 VIKAS SWARUP (SCRIBNER INTERNATIONAL846


クイズ$ミリオネア」というクイズ番組を覚えているだろうか?司会者が「ファイナルアンサー!?」と司会者がクイズ挑戦者に叫ぶことでも有名だった。


これは、「クイズ$ミリオネア」インド版に挑戦したインドの青年のお話である。インド・ムンバイのスラムに育った孤児で無学の青年が、「クイズ$ミリオネア」で勝ち進むという信じられない愉快な展開


洋書であるが、平易にかかれているので、なぜ、無学な青年が、難問を解くことができたのか、その謎を探っていくことができ、英語を読む楽しさもあって、一挙両得である。


ここで大事なのは、主人公のラム・ムハンマド・トーマスが、スラムの孤児という逆境のなかでも、したたかに生き抜く知恵や、人間の優しさを失わない強いこころを持っているということだ。


予想外の展開を見せる物語の中で、必死にサバイバルしていくラムを応援したくなって、次々とページを読み進み、一週間で読んでしまった。


つらいときや、こころがくじけそうになったときに、読めば元気倍増、また、明日から頑張ろうというエネルギーを与えてくれる作品である。


この作品は映画化されており、映画「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年、監督ダニー・ホイル、主演テーブ・バテール)は、アカデミー賞作品賞を含む8部門を受賞した。


この映画と原作は少し違うが、どちらも面白く、その違いを楽しむのも一興である。映画を見て、原作を読めば、また、理解も深まり、英語の疑問点も解消できて、嬉しくなる名作。


私は、原作のほうが面白いと思ったのだが、あなたはどう感じるのだろう?


インドの底力とエネルギーに触れ、インドのことをもっと知りたいと考えている。





posted by あまんと文庫 at 15:23| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年02月02日

「やがて哀しき外国語」 村上春樹 (講談社文庫)530円

英語にずっと片思いしている。


アメリカ映画で映画やドラマをずっと見てきたからか、英語の小気味良い表現には日本語と違ってホントにドキドキして感激してしまう。


アメリカドラマ「コールド・ケース」と「セックスアンド・ザ・シティ」の会話はドラマの面白さもさることながら、英語のしゃれた言い回しも楽しい。


初めて英語の本を読んだのは、「The Wishing Game(Patrick Redmond)だった。


これは、イギリスの寄宿舎に暮らす14歳の少年たちの話で、イジメラレッ子の少年が謎のクラスメートに助けられるのだが、それが、後に恐ろしいことになっていく、という物語。英語初級でも読める作品であきさせない。英語入門書としておススメ。


この本を読んでいるときに不思議なことがあって、突然、英語で主人公の少年たちの声が聞こえてくるような感覚を覚えた。それが、とても気持ち良かったことを覚えている。


この気持ち良さが、その言語との相性というものなのだろうか。

とはいっても、好きと才能は別で、私の英語は相変わらず修行中である。


あなたにとって相性の合う外国語はどれですか?


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8 「やがて哀しき外国語」 村上春樹 (講談社文庫530


村上春樹は、1991年の初めから約2年半、アメリカのニュージャージー州のプリンストンに住んだ。このエッセイ集は、その時書かれたもの。


外国で暮らすのは、本当に大変だ。日本のように何もかもすごく便利で、スピーディーではないし、サービスも日本で比べて驚くほど悪い。


電気製品の修理にしても、頼んでも1か月は待たせて、やきもきさせたりする。

村上春樹はのんびりとプリンストンの生活を楽しみながら、作家の嗅覚でアメリカを観察。州ごと、暮らす地域で、住民感情や習慣が違うことが、アメリカ的で驚かされる。


最初は、サリンジャーやレイモンド・カーヴァーの翻訳で知られている村上春樹が、「英語を使って人と喋るのは苦手である。」と言っているのが気になってこの本を読んでみた


英語の達人の英語感をぜひ聞いてみたかったから。


表題になっている「やがて哀しき外国語」はスペイン語講座に通う話で、“会話教室アルアル”といった感じで思わずクスリと笑える


この本を読み進めるうち、このプリンストン滞在のときに、あの名作「ねじまき鳥クロニクル」(この作品は長編で、悪魔のように面白い作品だが、ラストに至るまで本当に恐ろしい小説だった。時間のあるときにおすすめ。)を執筆したこと、小説を書こうと思って7年くらいは小説を書けなかったこと、など創作の秘密が垣間見えてくる。


創作というのは、どんな時にできるのだろうか?


創作するには、追い詰められてエッジに立たないとできないンじゃないか、と想像するが、外国で暮らすストレスもこのエッジ効果を生むのかもしれない。


このエッセイを読んでいると、アメリカに行きたくなってくる。


スティーブン・キングやスコット・フィッツジェラルドを生み出した国。問題多発地帯だが、人を引き付けるすごい吸引力がある。


posted by あまんと文庫 at 10:58| Comment(0) | TrackBack(0) | | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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